2016ふくしま未来神楽とは

2016年8月28日(日)午後6時30分頃~
会場:福島稲荷神社

東日本震災の現実を伝え、鎮魂と再生の祈りを込め、伝承していく新しい表現としての現代の神楽「ふくしま未来神楽」第三番を創作し、福島の総鎮守である福島稲荷神社に奉納、発表する。(第一番「白はだし」2015.5.3 南相馬市山田神社にて発表第二番「風来」2015.8.23 福島稲荷神社にて発表)


特別協力:福島稲荷神社様/丹治正博宮司
監修:懸田弘訓氏(民族芸能学会福島調査団団長)
森幸彦氏(福島県立博物館専門学芸員・伊勢大御神宮司)



【創作神楽演目】

ふくしま未来神楽 第三番「天・天・天狗」



【参加アーティスト・スタッフ】
原詩 和合亮一
演出 木村純一
舞台監督 関口 修
照明 佐藤康孝
作曲 嶋津武仁(福島大学名誉教授、作曲家)
演奏 山木屋太鼓「鴉」(会長:遠藤元気)
演奏 藤野恵美(キーボード)
神楽舞振付 橘 正鳳(伝統文化みらい広場実行委員会委員長)
舞踊指導 花柳沙里樹(伝統文化みらい協会理事長)
舞い手 ふくしまバトン(代表:沼崎なな香)
口上 数名程度の男声による

※当日はキッチンカーなどの飲食ブースなども設置予定。
※入場・観覧は無料。古式にのっとり、おひねり制を予定。


あらすじ

「ユニークな存在の天狗が 生者に力を与えてくれる
時には人びとにいたずらしたり
笑わせたり
山道に迷った人を 村まで 導いてくれたりもする

震災で亡くなった人びとの魂を 心を決して 忘れないように
天狗がその想いを連れてきてくれて
生者と亡くなりし人びとの祭りが始まる

やがて祭りは終わり
生者も死者も
これからの 豊かな季節を祈る」


解説

今回で三作目となる新作神楽「天・天・天狗」は、福島市信夫山に伝わる天狗伝説をもとに創作されました。
信夫山には天狗森と呼ばれるスポットなどがあり、天狗の財宝が埋められているともいわれています。

江戸時代の国学者平田篤胤の『仙境異聞』という本には、天狗は高い山にいて修行を積み里人の平穏を祈るが、鷲やトンビなど鳥の変化した天狗は、「天狗倒し」(山中で木の倒れる音だけがする)などのいたずらをする、と紹介されています。一方で人間にやりこめられて悔しさに地団太を踏んだりなど、ユーモラスな存在として日本人にはよく知られています。

このように昔語りなどでなじみ深い天狗ですが、赤ら顔で大きな鼻を持ち、光る眼を持つ姿は日本神話に登場する「猿田彦」という神様がもとになっているそうです。猿田彦は「導きの神様」ともされています。福島の人々をより良い方向に導いてくれますように、という願いが、天狗にはこめられています。

今回の未来神楽では烏天狗が「歩は破 風は府は破(フワハ フワフワハ)」と「天狗笑い」(山中で笑い声が聞こえ、笑い返すと倍返しの大声で笑いかけてくる)のいたずらを仕掛けてきたり、大天狗が福島の平穏を祈る舞を舞ったりなどします。舞の団扇にあおられて、幸いの風が会場にそよぎだします。

また、小天狗たちが天狗相撲をモチーフにした踊りを踊ります。小天狗たちは太鼓や音楽に合わせて「緞子子 緞子子(ドンスス ドンスス)」と足を踏み鳴らします。相撲の四股は古来より大地を鎮め、魔を祓う動作だといわれています。これからの福島を担っていくのは子供たちです。可愛らしい小天狗たちの掛け合いや踊りを、子供たちのこれからの未来の姿に重ね合わせて、ぜひ応援してあげてください。

天狗の笑いに導かれ、子供たちをはじめ福島のすべての人々の未来に、恵みの雨が降り注ぐようにと願ってやみません。(及川俊哉)